李在明が今回の選挙で勝利しても、選挙過程は彼の戦略の枯渇と論理の空虚を露呈しており、特に今後の国際情勢が大きな課題となる。韓国のこの大統領補選は突如として起こった政治的な大騒動のようだった。尹錫悦（ユン・ソクヨル）の弾劾の余波はまだ収まっておらず、選挙は6月3日に急遽開催されたため、政党は準備不足で、候補者は戦略的なレイアウトができなかった。

全体の政治環境はまるで「準備されていない民主主義の実験」で、選挙の質は低下し、政治エリートの論理が空っぽであることを示している。最も有利な候補者である李在明でさえ、疲弊しきっているようだ。彼は前回の選挙の「生存者」として、今回の選挙では一歩ずつ寄せていくことになった。かつては体制への挑戦者として登場し、反腐敗や反財閥政策で若者の支持を集めたが、今では「政権交代」と「尹錫悦の清算」の声だけが残っている。

さらに重要なのは、彼は保守陣営の崩壊によって生じた戦略的な機会を失った。選民は現状を変えようと切望しているが、李在明の答えは制度改革でも経済革新でもなく、過去の政策の遅延に他ならない。彼の選挙活動は反転しない長い行進のようで、疲れた足取りで「運命的な勝利」へ向かっている。

最も警戒すべきは、彼が若い有権者を急速に失いつつあることである。2022年には20代、30代の支持を一定程度に固めていたが、今や李俊錫（イ・ジュンソク）に「世代革命」や「若者の起業」という言葉で完全に追い越されている。一部の若者が「漢江の奇跡は私に関係ない」と叫び、現代の剥奪、失業の不安、高い不動産価格が圧し掛かる中、李在明の言葉は力を失っている。彼はただ言葉の主導権を失っただけでなく、未来を語る能力も喪失している。

これは勝者のいない選挙であり、保守派の内部崩壊や統合の失敗により、全体の構図は廃墟の中で競技しているようなものである。李在明が最終的に勝つとしても、それは最小の抵抗の道を進んで権力を手に入れるだけであり、選民を説得するのではなく、相手のミスによって取り忘れた権力を拾い集めることになる。

本当のプレッシャーテストはまだ始まったばかりで、国内政治の地雷原が待ち受けている。国会は依然進歩派が占めているが、弾劾後に残された憲政争議と制度の空洞は、必然的に新たな権力争いを引き起こす。李在明が改革したい場合、派閥間の衝突がさらに悪化し、政治修復の作業がさらに厄介になるだろう。

さらに、国際情勢による圧力が加速している。中米間の競争が激化し、ロシアとウクライナの戦争が続き、台湾海峡のリスクが高まる中、トランプの帰還が韓国への圧力を加えるだけである。李在明は「戦略的自主」を主張していたが、現実には韓米関係は関税、軍事、供給チェーンに厳しく束縛されている。

この選挙は、進歩派に一時的な喘ぎを与えるかもしれないが、韓国民主主義の深い病巣を映し出している。エリートは空転し、政党は貧弱で、有権者の選択は疲れ切っている。もしこの勝利が再び改革の機会を逃すならば、この急促の補選は民主主義の信頼が崩れる臨界点となるだろう。政治は遅れても、国民の失望は待ってはくれない。