米国労働省（DOL）は、3月の職位空きと労働力流動調査（JOLTS）を発表し、全国の職位空き数が719.2万に減少し、2020年以来の最低レベルを記録しました。これは関税政策の不確実性が高まる中で、企業の採用意欲が鈍化していることを反映しています。

調査によると、3月の職位空きは前月比で28.8万減少し、2月のデータも748万に下方修正され、以前の756.8万から減少しました。この結果は市場の予想よりも低いものであり、ブルームバーグとロイターの経済学者は職位空き数を約748万と予想していました。

関税と政策の不確実性が企業の採用意欲を抑制し、経済学者は労働市場は全体としては依然として弾力性があるものの、関税政策の続く変動がサプライチェーンの混乱とコストの上昇を引き起こし、企業が一般的に慎重になり、拡大と人事支出計画を先送りしていると指摘しています。

トランプ政権が大規模な政府再編を推進した後、連邦機関の解雇や採用の凍結の影響も徐々に表れてきました。外部コンサルティング会社Challenger, Gray & Christmasの統計によると、3月の政府部門で発表された解雇数は前年同月の3倍に増加しました。

しかし、他のデータは労働市場の悪化が明らかでないことを示しています。3月の解雇人数は155.8万人に減少し、昨年6月以来の最低レベルであり、全体の採用人数は541.1万人にわずかに増加し、離職率は若干上昇して、昨年7月以来の新高値に達し、従業員の一部は新しい仕事を探す自信を保っています。

連邦準備制度（Fed）が注視する「失業者一人当たりの職の空き数」の指標は3月に1.0に減少し、2020年9月以来の最低水準となっています。この比率は2022年には2:1に達しており、労働市場の需給が緊張していたことを示していましたが、現在は明らかに冷却しています。Fedのパウエル議長は最近、労働市場を「健全」と表現しつつも、完全雇用を確保するためにインフレを抑制する必要があると強調しています。

市場は、Fedが翌週の金融政策会議で金利を現状維持するとの期待をかけています。経済学者は、今週金曜日（5/2）発表される4月の雇用レポートでは、3月の22.8万人に対して13万人の新たな雇用が加わると予想しており、失業率は4.2%で横ばいの見込みです。

JOLTSレポート以外にも、他のデータは経済の動力が鈍化していることを示しています。4月の消費者信頼感指数が5ヶ月連続で低下し、2008年以来の最長の下落となりました。同時に、3月の商品貿易赤字は予想外に拡大し、企業が新たな関税を回避するために貨物を前倒しで輸入したため、一部のアナリストは第1四半期の国内総生産（GDP）成長予測を下方修正せざるを得ませんでした。

全体的に、関税によるインフレ圧力及び政策の不確実性が増す中で、労働市場は今後数ヶ月間でさらなる挑戦に直面する恐れがあり、経済の鈍化と潜在的なリセッションへの懸念も高まっています。