8強戦でフランス代表に勝利したオーストラリアの選手カトリーナ・ゴリー（Katrina Gorry）は、2歳の娘を抱いて観客に手を振った。今年の女子サッカーワールドカップでは、オーストラリアのカトリーナ・ゴリーがペナルティーキックでゴールを決めた後、観客席を見て腕を抱くような仕草をし、2歳の娘ハーパー（Harper）に挨拶をした。しばらくして、ハーパーを抱いた彼女は同じユニフォームを着てフィールドに出て、勝利を祝って両腕を振り上げた。今年の大会では、より多くの母親たちがこの舞台に立ち、育児と最高峰のサッカー大会とのバランスを見せている。成功した女性たちは母親としての役割を誇りを持って公に示し、強いメッセージを発信している。ブラジルの伝説的サッカー選手マルタ（Marta）は、自身のチームが大会を終える際に心を打つ別れの挨拶をし、この新しい模範に対する注目を集めた。「私がサッカーを始めたころ、女子サッカーにはアイドルがいなかった」と彼女は語った。「20年後、私たちは世界中の多くの女性のお手本になっている。サッカーだけではなく。」ワールドカップは20億人以上の視聴者を惹きつけ、選手たちはこの注目を活かして世界の女性権利を訴えている。イギリスのノッティンガム・トレント大学のアリ・ボウ（Ali Bowe）講師は、「スポーツは社会の縮図だ」と述べ、「スポーツ界の性別不平等を解決できれば、さらに広範な分野の性別不平等にも貢献できる。」と語る。彼女は女子サッカー界の変革が「社会の他の分野にも転化する」と考えている。

マルタ（Marta）はこれまでのワールドカップで個人最多得点を持ってこの大会に別れを告げた。女子サッカー選手の進展がみられる二つの分野は、妊娠と出産の権利と給与平等だ。「過去には選手たちは母親になることとプロのアスリートであることの選択を強いられることが多かった」とイギリス・ダラム大学のステイシー・ポープ（Stacey Pope）は語った。「それはスポーツが男性を基準にした職業選択で、性別役割が男性に家計を支えられた生活を、女性に育児を担う役割を押し付けるからだ。」しかし、今日のエリート選手たちはこれらのルールを覆している。今年のワールドカップでは、アメリカのスター選手アレックス・モーガン（Alex Morgan）がインタビュー中に3歳の娘からのビデオ電話に応じて席を外したという印象に残る瞬間もあった。また、スペインの選手イレーネ・パレデス（Irene Paredes）は息子をオーストラリアに連れて行き、FIFAのインタビューで「子供が小さいときは、彼があなたを必要としている、一方であなたも彼を必要としている」と説明した。パレデスはアイルランドのエイナ・オゴーマン（Ainé O'Gorman）や中国の張馨（Zhang Xin）とともに、育児とキャリアの選択や挑戦について公に語っている。